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秦と斉~斉・静観の裏③


(画像「斉王健と蔡沢」~漫画キングダムより)

前回の記事はこちら「秦と斉~斉・静観の裏②」

前回はポイント2、3を書きました。今回は続きを書いてみます。


4.法章(襄王)の子、健

襄王が呂氏だとすると、その子の健も血を受け継ぐ者=呂氏です。

強国・秦にいる呂不韋が、呂氏一族である斉王・健と繋がっていたと見ることは、自然なことです。紀元前252年に、呂不韋は正式に秦の丞相となります。その時、亡くなった襄王の跡を継ぎ、子の健が斉王となっていました。この斉王・健ですが、田氏の反逆を恐れてか、田健と名乗っています。呂氏がことごとく殺されてきた歴史がありますから、呂氏は上手く漢民族の名前を使ったりして溶け込んで行くわけです。


法章が名前を変えてまで山東省に潜伏した事実もあるので、当時としては呂氏(古代ユダヤ人)の常套手段だったのかもしれませんね。


この斉王・健が、キングダムに登場します。


5.非戦闘国家となった斉

なぜか襄王の頃から、子の健に至るまで、なんと斉はまったく戦争をしなくなってしまいます。この時期、中華は「戦国春秋時代」と呼ばれ、消すか消されるかの存亡をかけた戦国時代なのに、です。

<キングダムでは>

漫画キングダムでは、この斉の「非戦闘国家性」について、原先生が上手くストーリーを作っています。合従軍に領土を蹂躙された経験のある斉。そこに呂不韋の息がかかった呂氏四柱の一人、蔡沢が斉に赴き、秦と斉の密約をかわすきっかけを作るのです。

史実では呂氏四柱という呼び方は存在しませんでしたし、蔡沢が斉と密約外交を行ったという事実もありません。


(画像「蔡沢」~漫画キングダムより)


<私の推測では>

呂氏一族であった斉王・健と呂不韋が、裏で手を引くことは容易に考えられます。強かな呂不韋のことですから、表面的には秦王・政と斉王・健に外交させていた傍ら、自らは秘密裏に「手柄」を仕込む。その手柄とは、秦に対する合従軍が起きた時の裏工作です。

実際に、紀元前241年、楚・趙・魏・韓・燕の5カ国が合従軍として秦に攻め込みます。漫画キングダムでも描かれましたが、秦が一気に存亡の危機に陥った函谷関の戦いです。史実では、「なぜか」斉だけがこの合従軍に参加していないのです。

これはもともと呂不韋が斉王・健と、呂氏一族として密約を交わしていたのでしょう。万が一、他国が合従軍として秦を攻め込むようなことがあった場合、斉は「合従軍参加」を装うが静観し、秦を攻める合従軍の「後門の憂い」になることを。

秦は存亡の危機で宮中が慌てふためく中、呂不韋が密約=究極の一手を披露する。

(画像「呂不韋」~ブログ著者によるセリフ加工がしてあります)

ほぼ無策だった始皇帝を差し置いて、窮地の秦においては、呂不韋の株がさらに上昇したことでしょう。稀代の策士とはこのことです。呂不韋はもっと評価されるべき人材でしたが、ユダヤ系だったということもあり、書物においては歴史の表舞台には立つことが出来なかったのです。


秦が斉を滅ぼして統一した後の話になりますが、田健の弟の田仮は、秦の始皇帝没後に(既に呂不韋は失脚している)、挙兵して斉王になっています。それほど、呂不韋(始皇帝の父親)の影響が斉にとって大きかったのでしょうし、呂不韋がいなくなった秦には気を遣うことなく、また斉を興すことに至ったのだと思います。呂氏としては当然だったのかもしれません。


ここで漫画キングダムに話を少し戻してみます。


漫画キングダムでは、斉が蔡沢から持ちかけられた合従軍離脱の条件が描かれています。それは、合従軍に参加して得られる分配金総定額の、倍額を秦が出すというもの。斉王・健は、それに乗っかりました。


「健はお金に目が眩んでるなぁ」と思った方も多いと思います。斉王・健が呂氏だとすると、古代ユダヤ系ですから、お金に目がないのも当然ということになりますね。当然、このくだりについては史実にはありませんが、呂不韋が実際に斉王・健に対して莫大な資金を送ったのかもしれません。それくらい、呂不韋のユダヤ商人としての財力はずば抜けていたと思っています。


そう考えると、これも史実にはありませんが、キングダムの最新話(638話)も本当に面白くなってくると思います。ということで、この続きは、ヤングジャンプのキングダム本誌を読んでいない方は読まないようにご注意ください(ネタバレあり)。


※余談※


これまで、斉王・健が父の法章から連なる呂氏だということを書いてきました。もう1つ妄想を膨らませられる説を考えていたので、書いておきます。


法章は田氏であった説。法章を見初めた君皇后が、実は呂氏だった。君皇后は法章に上手く近づき、田氏ということを知りながら呂不韋=秦の都合の良いように斉を裏で操っていた。そのため、斉は秦により無力化されていることを知らずに、呂不韋の口車に乗ってしまい、気がついたら秦に滅ぼされていた。


中国では女性が裏で政治の実権を握り、その結果、最悪の事態を招くということが往々にしてあります(笑)。なので、こちらの説も面白いと思っています。


※余談おわり※


秦と斉~斉・静観の裏④へ

※ネタバレ注意です。本誌キングダムを読んでいない方はご注意ください※


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